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2007年03月 アーカイブ

映画「南京の真実(仮題)」製作と日本文化チャンネル桜の放送形態変更について

 水島 総(日本文化チャンネル桜代表・映画監督)

 いささか、私事めくとは思うが、「衛星放送」の実態を皆さんにお知らせするのには格好の実例なので、私の経営する衛星放送「日本文化チャンネル桜」について報告したいと考えた。もし、あなたが衛星放送をやりたいと考えたら、参考にしていただきたい。
 結論から述べておくと、衛星放送「日本文化チャンネル桜」は、三月三十一日をもって、スカイパーフェクTV!における24時間放送を休止し、同Ch.241「ハッピー241」の夜の時間帯で放送を続けることになった。いわば「借家」で、放送事業の継続を決めたのである。理由は、このままでは経営的に成り立たなくなるからである。
 現実問題として、衛星放送の経営は、衛星使用料・スカパー!のプラットホーム料だけでも、一年間で一億数千万円が必要である。スカパー!の衛星放送チャンネルは、映像コンテンツをどこからか買って放映するだけの局がほとんどだが、チャンネル桜は、毎日六時間以上新しい自主制作番組を作り続けてきた。番組製作費、運営・事務経費、人件費等を考えると、どんなに倹約しても、最低でも年間約四億円以上の資金が必要となる。チャンネル桜の月額料金は880円だったが、そこからスカパー!に手数料330円が引かれ、手元に来るのは550円である。視聴者が一万人で年間6600万円の売上げである。視聴者の皆様からいただいてきた視聴料・協賛コマーシャルでは、維持することが出来なくなったのである。遺憾ながら、チャンネル桜の累積赤字は、五億円強を超えた。
 私の予想(期待)では、雑誌「WiLL」や「正論」「SAPIO」の部数位の視聴者が、二、三年の間に加入していただけるのではと期待していた 。しかし、残念ながら、私の力不足もあり、その何分の一かの視聴者も加入いただけず、現実は厳しい結果となった。

 小さい頃、上級生と喧嘩ばかりしていた私に、父が教えてくれた言葉がある。「喧嘩をすると、お前より強い奴はいくらでもいる。だから勝たなくても良い。しかし、絶対に負けるな。参ったと絶対に言うな」
三つ子の魂百までもというが、私も約五十年後、父の教え通りチャンネル桜の経営者として「負けない戦い」「一歩後退二歩前進」となる選択をした。私には八年前からオーナー社長として経営して来たもうひとつの衛星放送チャンネルがあった。在日フィリピン人約二十万人を対象とするスカパー!Ch.787「ウィンズ・フィリピノ・チャンネル」である。こちらの方は、順調に黒字を生み出しており、二億円の資本金を用意してチャンネル桜を創立出来たのも、こちらの黒字チャンネルのおかげだった。私はそのフィリピンチャンネルの全株式を売却し、「一円」でチャンネル桜の全株式と全債務を買う形を択んだ。そして、このフィリピンチャンネルの株式売却金によって、チャンネル桜の全債務を解消し、チャンネル桜の完全無借金状態を実現した。同時に、その売却益が二億円ほど残った。この最後に残った二億円の資金を基に、私は新たな日本文化チャンネル桜の再出発と映画「南京の真実(仮題)」製作を決めた。
 文字通り、背水の陣となった。
 「南京事件」の映画製作をする際は、自分の身辺をきれいにしておくべきだと考えたことも大きな理由のひとつである。とかく、こういう志を疑い、嫉妬し、何かとケチをつけたがる御仁は沢山いるからだ。
 
 「日本文化チャンネル桜」は、約三年前、「日本の伝統文化の復興と保持を目指し、戦後日本を見直そう」との創立趣旨をもって日本初の草莽メディアとして創立された。メディアの理想をどこまで追求できるかの「実験」ではあったが、いかなる政治団体・宗教団体・大企業等からも、一円のお金も受け取らぬ独立不羈の草莽(草の根)チャンネルであろうとした。もちろん、私達の創立趣旨に賛同してくれる大企業があったら大歓迎だったが、予想通り、そういう企業は皆無だった。まあ、無理もないといえば無理もない。例えば、これは我が国の「報道の自由」に関わる問題だが、チャンネル桜は、マスメディアが怖がって報道しない中国のマイナス面をどんどん報道し、解説や分析をして来た。チベットの大虐殺や政治弾圧、シナ人の移住とチベット政治経済の乗っ取り、ダライラマ来日詳報、そして日本のマスコミが全く黙殺しているウィグル人居住地区の政治弾圧と虐殺、三十回にわたる核実験でウィグル人居住地区に広がっている核汚染と放射能障害等、また、中国各地に広がる恐るべき貧富の格差と年間五万件以上とも言われる百人以上の暴動発生と弾圧、法輪功への弾圧等々の報道を次々に行ってきた。そして、極めつけは、今、世界的規模で行われ始めた中国の「南京大虐殺」キャンペーンに対する映画「南京の真実(仮題)」の製作発表だった。
 この映画製作と歴史検証によって、近い将来、「南京大虐殺」なる歴史捏造は完全に暴かれ、汚名を着せられた帝国陸海軍の名誉が回復されるだろう。どんなに少なく見積もっても、国内と世界的な規模で、「南京」の歴史捏造に対する反撃の大きな第一歩が踏み出され、大道が切り拓かれるのは間違いないことである.。

 よく、映画製作のために、企業から献金してもらったらという人がいる。しかし、現実として、日本のほとんどの大企業が中国とビジネスを展開しているのは確かな事実なのである。いくら正当、正確、勇気ある報道や解説のメディアであっても、チャンネル桜のような「反中国」的なメディアのスポンサーになって、中国から睨まれ、経済的な圧迫や嫌がらせを受けることを恐れるのである。マスメディアも同様で、朝日新聞のような確信犯は別として、「日中友好を阻害しない報道をする」といった日中記者協定に縛られ、中国に遠慮と配慮=拝跪した報道が大部分である。さらに、中国ビジネスを展開する企業がスポンサーを下りるのも怖いのである。
 この典型的実例が、私達の映画「南京の真実(仮題)」製作発表記者会見に対する、日本のマスメディアの余りにも露骨な「黙殺」だった。一月二十四日、国会議員十二名と三十数名の著名な戦後保守文化人が大同団結して行われた記者会見は、世界の主要な通信社(AP、AFP、UPI、ロイター等)や新聞(ニューヨークタイムズ、ヘラルドトリビューン、タイムズ、ガーディアン等)、雑誌(ニューズウィーク・タイム等)、テレビ(アルジャジーラ、台湾中天テレビ等)など、三十社以上もの海外メディアが取り上げた。しかし、日本では産経新聞が取り上げただけで、テレビメディアは皆無だった。笑ったのは毎日新聞で、英語版の毎日新聞は、結構大きく取り上げたが、日本語の方は全くゼロだった。これはある意味で驚くべき事態である。ニュースの価値判断において、世界メディアと日本のマスメディアが、いかにかけ離れているかの明白な証拠であり、同時に、中国政府の好まぬニュースを報道することを恐れ、臆病になり、ことなかれ主義を決め込む、ジャーナリスト失格たる情けない日本のマスメディアの現実を示しているのだ。人民日報東京支社と揶揄されながら「ジャーナリスト宣言」なるものを自己宣伝する新聞社はあっても、日本に本物のジャーナリストは一体、何人いるのか、と言いたくなるのである。
 借家住まいの放送事業継続と同時に、私はもうひとつの決断をした。これまで有料放送として毎月視聴料をいただいて来たが、四月以降は無料とすることを決めたのである。これによって、スカイパーフェクTV!の視聴者「四百万人以上」が視聴可能となり、チャンネル桜の存在感と影響力は、インターネット放送の同時推進と併せて、これまで以上に大きくなるだろう。映画「南京の真実(仮題)」の広報宣伝についても、大きな効果が期待できる。

 ただ、チャンネル桜は、協賛広告と視聴協賛金だけが、唯一の収入源となる。かなりの経営的冒険となる。しかし、私は草莽の日本人を信じたいし、信じている。
 こういう言い方に対して、理想で現実を考えてばかりいる経営者と批判される方もいると思う。しかし、あえて言わせていただければ、まがりなりにも、私は衛星テレビを立ち上げ、三年近く続け、また、これからも続けて行くという自負がある。私しか出来なかったのではないのか?といういささかの自負もある。私は「有言実行」を旨としている。至誠一貫という姿勢を貫き、それを皆様に伝えていけば、必ず、日本人の心の奥底に届かせることが可能だと思っている。現に、数多い皆様から、映画資金に対するご協力が得られ始めている。
 また、私の現状認識では、今、日本はかつてない規模の国際情報戦争を仕掛けられ、未曽有の「国難」に遭遇しているのである。
 
 これまで、チャンネル桜は、日本人としての誇りや勇気を忘れて損得や打算だけで物事を考える戦後日本人の在り方に、ずっと疑問を投げかけて来た。私は、自分達の発して来たその言葉を「言葉通り」実践しようと思った。
 日本文化チャンネル桜の社是は「草莽崛起」(吉田松陰)と 「敬天愛人」(西郷南洲)である。
 
 命もいらず、名もいらず、
 官位も金もいらぬ人は、仕抹に困るもの也。
 此の仕抹に困る人ならでは、艱難を共にして 
 国家の大業は成し得られぬなり。          
                     西郷南洲翁遺訓より
 
 私達は、「仕抹に困る」メディアであり続けようと決意している。
 私達は、日本を最も愛するメディアであり続ける。
 私達は、日本と日本人を信じ、その未来を信じる。

 幸い、「南京大虐殺」を検証する映画の資金は、チャンネル桜が用意した四千万円を加えると、一ヶ月半で一億二千万円を超えた。日本はまだ見捨てたものではないのだ。

 今、世界の大転換期にあって、この草莽崛起、独立不羈の「志」をどこまで映像メディアとして、実践、推進出来るか、草莽の皆様に置かれては、この一見「無謀」な試みを是非、見守り、出来ればご支援いただきたいと願うのである。
 もし、一年後、万が一映画製作と公開が失敗し、私がチャンネル桜をたたむような事態でも起きたら、日本はもう駄目だと思っていいのかもしれない。
 しかし、私自身は絶対にあきらめない。なぜなら、私は日本で生まれ、日本で育ち、日本で生き、日本を愛する、日本人だからである。